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妻としての最後
僕はそのまま黙って階下に降りた。
見ると、花屋が目にとまった。
僕はそこで、妻のためのブーケをアレンジしてもらった。
店員が「カードには何とお書きになりますか?」と聞いてきた。
僕はふと微笑んで、言った。
「そうだね、こう書いてくれ。」『毎朝君を腕に抱いて見送るよ。死が二人を分つ、その日まで...』
その日の夕方、僕は
妻への花束を抱え、顔に笑顔をたたえて
家についた。はやる気持ちで階段を駆け上がる!
早く早く!妻のもとへ!出迎えてくれた妻は
ベッドで冷たくなっていた。。。。何も知らなかった。
僕は、何も知らなかったのだ。
妻が「ガン」であったことさえも。ジェーンとの情事にうつつをぬかしていた僕は、
妻がこの数ヶ月必死で病魔と戦っていたことに
気付きさえしなかったのだ!妻は分かっていたのだ。自分がもうじき死ぬことを。
彼女が出してきた「離婚の条件」は
僕を責めるものではなく、僕を救うためのものだったのだ!
自分亡き後、最愛の息子から
僕が責められることがないように。毎朝お母さんを抱き上げて優しく見送るお父さん。
そう、そういう僕を毎朝見ていた息子にとって
僕はまぎれもなく
「お母さんに離婚をつきつけたお父さん」ではなく
「お母さんを最後まで愛したお父さん」となったのだ。引用:修羅場ハザード
最後には夫は妻に思いを告げることが出来なかったようですね。
とても残念です。
この話を読んで、何気ない日常がいかに愛おしいものなのかを考えさせられました。
何気ない時間だと思っても、その一瞬を大切にしたいですね。
参考