目次
1
「何度でも繰り返すのよ私達」
ベッドの上で彼女は僕を見上げた。
「何度でも?」
「そう何度でも。私が満足するまで貴方は続けるべきだわ」
「君はいつ満足するんだい?」
「さぁ?私にもわからないの」
僕はやれやれと絵本を開く。
カラスのパン屋さん、今夜八回目の開店だ。#村上春樹で語る育児— つなまよら (@tunamayora) August 29, 2019
2
「嫌なの。」
結局のところ、彼女は僕の話を聞くつもりはなかった。いつから彼女はこうなってしまったのだろうか?僕は溜息をつき、黙って追いかけた。
「今日は長靴にするって決めていたの。」
外は晴れていたが、彼女にとってそれはどうでもいいことのようだった。#村上春樹で語る育児— しぐま (@kasunuma344) August 29, 2019
3
「何故こんなになるまで放っておいたのよ」
「慣れちゃったんだ。おむつが重い事にも、泣かないでいる事にもね。それに遠くから見れば」僕は言った。「大抵のものは綺麗に見える」
「ねえ」彼女は器用に僕のおむつを替えながら首を振った。
「一生そんな風に生きていくつもり?」#村上春樹で語る育児— 雅樹 (@masazeroque) August 29, 2019
4
#村上春樹で語る育児
「外に出たくないの。だって濡れてしまうでしょう。」彼女は笑う。僕にはわからない。雨は上がり、地面には水溜まりのひとつもできていない。そう説明するが彼女は真新しい黄色の長靴を履いて笑う。「くつの裏が濡れてしまうでしょう。」
僕は全てを諦めて彼女を抱き上げた。— つむぎ (@tumugiguruma) August 29, 2019
5
彼女は柔らかな敷物の上で裸足になり、くるりくるりと廻った。何度も何度も廻った。
「目が回らないの」
私は彼女に問う。彼女の細い髪がふわりと舞って私の視界をけぶらせる。
「廻っているのは世界なの」
そんな笑顔を私に向けながら彼女は机に体をぶつけて泣いた。
#村上春樹で語る育児— 小宮ふみ@祝2y! + 31w妊娠糖尿切迫入院 (@komihumi) August 28, 2019
6
「…ここで、かい?」
僕は訊き返した。
「そう、ここでよ。ここで抱っこして」こうなることは家を出るときに予想していたのかもしれないが、あるいは違う可能性を期待していたのかもしれない。
僕は腕に彼女を抱きかかえ、床に置かれた米を見つめた。#村上春樹で語る育児— ハパ (@niconicoikuji) August 29, 2019
7
「つまりさ」身を乗り出して僕は言った。
「母乳は白いけど元は血液なんだ。血液を2時間おきに抽出され、しかも乳首も痛い。それなのに君は、いとも気軽に、そろそろおっぱいあげた方がいいんじゃない?と言うんだね」
最後の方はほとんど悲鳴に近かった。#村上春樹で語る育児— 妙齢のおかん (@myourei_no_okan) August 29, 2019
8
「それで」妻は言った。「どうして貴方は寝かしつけもせずに際限無くあの子と歌っていたのかしら」「それは見解の相違さ」僕は控えめに言葉を紡いだ。彼女にとってこれはすでに弾劾裁判なのだ。「僕だって知らなかったよ。夕食後に一緒に歌を歌うだけで興奮して眠らないなんて」
#村上春樹で語る育児— 月光ほろほろ (@horohoro_g) August 29, 2019
9
「眠いの」
彼女は不機嫌そうに言った。
「見ればわかるさ。眠ければ、寝ればいいと思うよ。きみのお気に入りの枕だって、熱くなった足を冷やす保冷剤だってある」
そう返すぼくに、あなたはまるでわかっていない、と言わんばかりの悲しそうな目をして繰り返した。
「眠いの」— 山田 剛也@山田治療院 (@yamadatakaya) August 29, 2019
10
「ここに暖かな離乳食がある。鮭を柔らかく煮てあるんだ。」
僕が言うと彼女はほんの少し首を傾げた。「どうかしら」という風に。
「カブとそぼろの中華風は?ブライアン・ウィルソンだってこれを食べたらウクレレを弾きだす」でも彼女は口を2ミリくらいすぼめただけだった。— maitake55 (@maitake55) August 29, 2019